花嫁衣装に用いられる白のウエディングドレス
オトナンサー

 花嫁衣装に選ばれる色といえば、西洋のウエディングドレスも日本の白無垢も「白」。白には「純粋」「無垢」「汚れのない」などのイメージがあり、初々しい花嫁にふさわしい色とされるからです。しかし、カラー&イメージコンサルタントの花岡ふみよさんによると、西洋と日本では、その意味合いに微妙な違いがあるようです。

白無垢の始まりは室町時代のこと

 まず、ウエディングドレスは18世紀ごろの欧州が発祥とされており、本来はキリスト教における婚礼用の衣装でした。花岡さんによると、諸説はあるものの、白のウエディングドレスが一般に普及したのは1840年、英国のヴィクトリア女王が結婚式で白のドレスを着たことがきっかけとされています。

「当時はウエディングドレスの色に決まりがなく、女性たちはさまざまな色のドレスを婚礼の場で着用し、式後もドレスをリフォームして着回していたようです。ただし、裕福な上流階級の女性たちはほとんど着回さず、若い女性の正装用だった白のドレスをウエディングドレスとして着用していました。ヴィクトリア女王はこの例にならい、白のドレスを着用したと考えられていますが、このロイヤルウエディングがきっかけで『白のウエディングドレス』が流行し、庶民にも浸透したのです」(花岡さん)

 英国のヴィクトリア朝時代において、花嫁は処女であることが求められ、それを視覚的に示すのが白のウエディングドレスでした。また、技術力の向上により、シルクやレースの大量生産が可能になったことも、白のドレスの普及を後押ししたと考えられます。

 一方、日本で婚礼に白無垢が着用されるようになったのは室町時代。つまり、西洋よりも早く、白い衣装が婚礼用として取り入れられたことになります。「白」である理由は、日本では古くから「白」は太陽の光の色であり、神聖な色だったことによる、という説が一般的だそうです。

「白無垢はその名の通り、何にも染まっていない無垢な状態で嫁ぎ、婚家に染まることを示します。つまり『白』には、奥ゆかしさを重んじる日本ならではの意味合いが込められているのです」

娘時代と決別する「死に装束」の意味

 ところで、日本には故人を送る時に白い衣装を施す「死に装束」という風習があります。人生の門出を迎える花嫁が、故人と同じ色の衣装を身に着けるのは縁起が悪いようにも思えますが、そもそも日本人には「白=不吉」という概念がありません。

「当時、女性が他家に嫁ぐ際には『生家で身に付けた習慣や風習、しきたりなどを全て捨て、生まれ変わったつもりで嫁ぎ先の家族として生きる』という覚悟を強いられました。つまり、白い花嫁衣装は娘時代と決別するための『死に装束』としての意味合いもあったのです」

 その後、白無垢は時代によって少しずつ変化。江戸時代には綿入れの白打掛を羽織り、婚礼後の色直しでは、花婿から贈られた色物(赤地)の衣装に改めるように。明治時代になると、黒ちりめんの振り袖が花嫁衣装として一般的になったこともあるようです。

「日本で実際に白いウエディングドレスが世間一般に広まったのは1980年代以降。テレビ中継される芸能人の結婚式が大きく影響したと言われています。トレンドの変化はあれど『白い衣装で嫁ぐ』ことへの特別な思いは変わらないのかもしれません」

(オトナンサー編集部)



(出典 news.nicovideo.jp)


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